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診療情報管理士の仕事内容 1日の流れは?

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診療情報管理士の仕事内容

診療情報管理士は、患者の診療情報や健康に関する情報について、収集・分析を行う専門職です。日々の診療で増え続けるカルテを整理、分類したり、診療内容を精査してデータ化したりするなど、医療機関内で重要な役割を担います。
カルテは患者が過去にどんな診察や治療を受けたか記録しているもので、医師が診察を行うにあたり、参考にする重要な存在です。そんなカルテのおかげで新規の患者に対しても的確かつ迅速に診察を行うことができます。
診療情報管理士は診察を支えるカルテを管理する役割を持ちます。診療情報管理士の仕事は医師や看護師のように表立って患者の方に医療行為を行うことは少ないですが、彼ら・彼女らの仕事を支える縁の下の力持ちといえます。
また入退院する患者のサマリー(経過や病状を記録した書類)について、必要事項の記入漏れがないかチェックする役目もあります。
患者の診療情報など、正確さを要求されるデータを扱うことから、高い注意力でデータ管理ができる人、個人情報に関するリテラシーが高い人であることが適性として求められます。
電子化が進む医療機関において、さまざまな情報を管理するスペシャリストである診療情報管理士は、医療機関内の事務系でも非常にやりがいのある職種だといえるでしょう。


午前中の業務

入院していた患者は午前中に退院していくことが多いので、最初にする業務は当日に退院する予定の患者をリストアップすることです。該当する患者の情報を、医師が入力した病名と照らし合わせながらDPCコーディングを進めていきます。

DPCは近年行われている医療費の計算方法です。従来は診療行為に対して医療費を計算する方式がとられていましたが、DPCでは定められている1日あたりの点数をベースに、患者が罹患している病気や病状、処置内容を加味して計算していきます。

その後、病棟側で退院処理が済んだ患者のカルテをチェックし、最終的なDPCコーディングを行います。

当日の退院関連業務を済ませた後は、医師が入力したDPC様式1のコーディングを確認し、レセプト(診療報酬明細)を作成します。また、先月分の退院患者について、レセプトとDPC様式1コーディング内容を照らし合わせ、必要があれば修正を加えていきます。


午後の業務

おもにがん登録を行います。病名コードから対象となる患者を検索し、該当する患者の情報を定められたマニュアルやルールに則って登録していきます。登録が済んだら医師に最終確認してもらいます。

退院する患者のサマリーのチェック、入院患者のDPCや入院診療録がん登録など、診療計画書の確認を行います。

月初めには上記に加え、医師ごとにサマリーの記入忘れがないかを調べ、リスト化するとともに確認と作成の依頼を行います。また、毎月院長に提出する書類として、点検報告書とリスト表の作成を行います。点検報告書は診療録の点検結果を基にし、退院サマリーの作成率などの統計を整理します。また、リスト表は診療録管理委員会に報告するための未記入サマリーを調査してまとめます。


ある1日のスケジュール

診療情報管理士が1日をどのように過ごすのか、具体的に時系列を追ってご紹介します。実際は各職場によって細部は異なってきますが、典型的な例として参考にしてみてください。

8:30
定時に出勤し、届いている院内メールの内容を確認。当日行う業務について優先順位を付けていきます。

9:00
同僚の診療情報管理士たちと打ち合わせを行い、各自の担当業務に関して情報を共有します。

9:15
コーディング作業の開始。新規患者のカルテを登録し、再訪する既存患者のカルテを更新します。

11:00
包括医療費支払い制度方式(DPC)の診療報酬計算が必要な対象患者のデータを経理に送ります。

12:00
1時間の昼休み。何もなければ昼食をとって一息つきますが、午前の診療時間内に医師へ確認できなかった質問事項がある場合は、この時間を割いて行うこともあります。

13:00
午後の業務開始。診療中のがんについて分類を行い、登録作業を進めていきます。

15:00
医療訴訟などで開示しなければならないカルテの内容を、担当部署に相談しながら点検していきます。

15:30
経理から依頼された患者のデータを精査します。

16:00
医師が記載したカルテの必要事項に漏れがないかチェックします。処方した薬の正当性についても確認し、カルテ記載評価の登録を行います。

17:00
残業がなければ1日の業務は終了です。


診療情報管理士になるには

診療情報管理士になるためには、日本病院会が実施する「診療情報管理士認定試験」に合格することが最も確実なルートといえるでしょう。診療情報管理士になるために必須の資格というわけではありませんが、実際の求人を見ると「診療情報管理士の業務経験」を求める場合が多く、未経験の場合は「有資格者であれば歓迎」とする病院がほとんどです。学校を卒業後、すぐに診療情報管理士として働き始めたい人には資格の取得がおすすめです。

この「診療情報管理士認定試験」ですが、実は誰でも自由に受験できるわけではなく、受験資格を満たす必要があります。受験資格には2通りあり、1つは日本病院会が実施する2年課程の「診療情報管理士通信教育」を修了すること、もう1つは日本病院会が認定した大学・専門学校(3年制以上)で特定の単位を修得することがあります。

一見すると、2年課程の通信教育を受けるほうが、専門学校に行くより早く診療情報管理士にたどりつけそうですが、この通信教育の受講にも条件があり、2年制以上の短期大学または専門学校卒以上(病院勤務者のみ高卒者も可)となっています。

このことから、3年制の専門学校を卒業することが、診療情報管理士への最短ルートとなっているのです。


診療情報管理士認定試験の概要

年に1回の試験で、例年2月に実施されます。内容は基礎分野と専門分野に分かれており、通信教育修了生で医師や、看護師、歯科衛生士等の資格を持っている場合は基礎分野の試験が免除されます。

過去の問題は公開されていないため、民間業者の模擬試験等を活用することで試験の傾向をつかむことができます。専門学校であれば、学校独自のテキストやテストなどで効率的に学ぶことができるでしょう。


診療情報管理士認定試験の難易度や合格率

令和2年実施の診療情報管理士認定試験では、受験者総数3,169名、合格者数1,961名で、合格率は61.9%となっています。誰でも受験できる試験とは違い、この試験の受験者は日本病院会実施の診療情報管理士通信教育の修了生、または指定の大学・専門学校で必要な単位を修得した人のみです。受験科目を2年あるいは3年課程で勉強した人のうち合格者は6割と考えると、難易度の高い試験であると言えるでしょう。

※診療情報管理士認定試験の受験資格を得るための通信教育では、授業と自習時間を合わせて約480時間が必要となっています。


診療情報管理士の勤務先・キャリアパス

診療情報管理士は大学病院や総合病院に就職するケースが多いため、福利厚生や労働環境が整った中で働くことができます。残業も少なく、自分のペースで仕事ができるため、家庭や子育てとの両立も可能です。女性であれば、出産や子育てで一度現場を離れても、復帰して同じように働くことができ、長くキャリアを積むことができる職種と言えるでしょう。

また、診療情報管理士は医療だけでなく情報処理の能力も身につけているので、病院に限らず医療ソフトウェア開発といった分野でも活躍することができます。


診療情報管理士の業務 、コーディングとはどんな作業なのか?

コーディングとは、医師が書いたカルテ内容や手術記録、看護記録などの診療情報を、国際疾病分類(ICD)や、医療費の計算方式であるDPCに沿ってコード化し分類・整理することです。この作業により、膨大な診療情報がデータベース化され、情報の共有や分析、活用が可能となります。

ICDは世界保健機関(WHO)が作成した分類で、病名が数字とアルファベットのコードで定められています。病名は国や言語によって違うため、世界共通のコードを用いてデータを登録することで、世界各国で集計された疾病や死亡データの比較が可能となり、学術研究などにも活用できるのです。


診療情報管理士の適性について

診療情報管理士は、正確な情報のデータ化が求められる仕事のため、慎重さや緻密さが必要とされます。データの管理に必要なパソコンスキルがあることも大切で、パソコンに向かって黙々と作業することが好きな人が向いています。また、個人情報が詰まった診療情報を管理するため、個人情報に関するリテラシーの高さも必要でしょう。

診療情報管理士は医療事務と違い、直接患者さんと接する機会は少なく、データ管理の面から医療現場をサポートする仕事です。目の前の患者さん一人ひとりと向き合うというより、医師や看護師と連携し、病院の経営や医療の質、医療政策など、より大きなスケールで医療に貢献したい人に向いている仕事といえるでしょう。


診療情報管理のよくある質問

・診療情報管理士の仕事内容とは?
診療情報管理士は、患者の診療情報や健康に関する情報について、収集・分析を行う専門職です。日々の診療で増え続けるカルテを整理、分類したり、診療内容を精査してデータ化したりするなど、医療機関内で重要な役割を担います。

・診療情報管理士になるには?
診療情報管理士は医学専門用語やドイツ語・英語などで書かれたカルテ、看護記録や検査記録などをチェックします。そのため、指定の大学・専門学校、もしくが通信講座などで必要な知識を習得してから就職するのが一般的です。
詳しくは「診療情報管理士になるには」ページを参照ください。

・診療情報管理士の給料・年収はどれくらい?
実務経験2年以上の診療情報管理士の給与の平均は20万円前後となっています。
詳しくは「診療情報管理士の給料・年収はどれくらい」ページを参照ください。

・診療情報管理士に資格は必要?
医療機関のなかで診療情報を管理する業務に従事するために、資格が必要となっているわけではありません。しかし、診療情報管理士に就くのに有利な資格はあります。
詳しくは「診療情報管理士に資格は必要?」ページを参照ください。


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