After/With コロナにおけるハイブリッド授業の開発・実証の挑戦
当学園は、関係機関とともに文部科学省委託事業「専修学校における先端技術利用活用実証研究」に取り組んでおります。(※1)
令和2年度から、東京リゾート&スポーツ専門学校を主幹校とし「スポーツ及び保育人材育成における先端技術を利用した学習成果検証事業」、札幌ビューティーアート専門学校を主幹校とし「VRを用いた美容・観光分野における職業教育実践事業」を展開しています。
コロナ禍によりオンライン授業ツールを使った遠隔教育が普及するなか、実践的専門教育を推進していくため、VRなどの先端映像技術を取り入れた教材の開発、及び先端センシング技術を取り入れた学習成果検証、VR技術を実務の中で活用できる人材の育成に取り組んでおります。
①スポーツ及び保育人材育成における先端技術を利用した学習成果検証事業(以下、S&C分野)
■事業目的
実践的職業教育の様々な教育シーンで利用できる「先端映像技術教材」(VR技術等活用)と、その教材を効果的に使用する「学習テンプレート」を開発し、「先端映像パッケージ」として整理し学習成果を検証します。
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■令和3年度実績
360度動画による定点観察、SwipeVideo(※2)で撮影した自由視点動画による多様な角度からの観察を組み合わせた学習内容を設計。スポーツ分野ではフィットネスクラブ内で同時多発的に起こる事象への優先順位を考えさせる内容、保育分野では保育士や園児の様々な姿を観察できる内容のオンデマンド教材を開発しました。延べ120人の受講生を対象に開発教材を使った懸賞授業を行い、eラーニング受講時の集中度(※3)計測に加え、HMD(※4)を利用した360度動画視聴では視線ログ取得と没入度計測を行いました。実証した結果、アルバイトで実務経験がある生徒の視線は模範視野と同様に画面の中央を推移し、効率的に視野把握をしていることが分かりました。また実習後アンケートを検証授業の受講群・未受講群とで比較した結果、スポーツ分野では自ら動いて観察したり利用者の状況把握に努める姿勢を意識した生徒が2.3倍、保育分野では園児にかける言葉を工夫したり理由を考えたりしながら観察する姿勢を意識した生徒が1.3倍、未受講群に比べて多いということが分かりました。
詳細は成果報告書をご覧ください。
■今後の取り組み
令和4年度は、対面授業と先端映像技術教材を掛け合わせたハイブリッド授業を設計し、試行検証を行います。授業終了後にも多様な学校のICT環境に合わせて実践できるよう、パソコンやプロジェクターなど広く普及した機材の活用を想定して学習テンプレートを設計します。また生徒が主体的・対話的で深い学びをできるよう、予てから学園でガイドラインを作成し取り組んできたアクティブラーニングの要素を取り入れるとともに、授業後の講師への即時フィードバック帳票の開発に取り組みます。
②VRを用いた美容・観光分野における職業教育実践事業(以下、B&T分野)
■事業目的
美容・観光・ブライダル業界の課題である「技術力・接客サービスの向上」「広告宣伝の強化」に取り組むため、VR技術(360度動画)を活用した職業体験・研修・広報コンテンツの開発に加え、講師・生徒にVRコンテンツ制作技術を提供することで、専門学校教育の中で専門知識をつけた上で、VR技術を実務の中で活用できる、即戦力かつハイブリッド(専門知識×VR技術)な人材を育成する仕組みづくりを行っています。
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■令和3年度実績・今後の取り組み
1.VR教材を用いた学習意欲喚起の実証
視線ログが取得可能なHMDを利用し、令和2年度に開発したVR職業体験コンテンツ(美容、観光等の5職種)を用い、在校生を対象にした授業、及び高校生対象のオープンキャンパスの2つの教育シーンにて、延べ213人に学習意欲喚起の実証を行いました。在校生のアンケート結果より、美容分野では90%以上の受講者の学習意欲が高まったことが分かりました。尚、オープンキャンパスでの実証結果では、入学希望度の平均スコアが5.23(最小値1、最大値6)と高く、専門学校教育への期待値が向上していることが分かりました。さらにHMDにて収集した視線ログ・没入度のデータから、1つの業務シーン内でのカメラ位置の変更・場面転換の回数が多いと集中度・没入度が下がる、矢印による視線誘導時は、矢印の大きさなど矢印に気づくような表示をするなど、VR教材政策において注意すべき項目を導き出すことができました。今年度はVR教材の持続的活用・展開を目指し、教育への動機づけのシーン(オープンキャンパス等)への行動誘発率を高められるかを検証していきます。
2.VRコンテンツ制作技術の教育
生徒へVRコンテンツ制作技術教育を行い、生徒によるVRコンテンツの試作品開発を行いました。今年度はVRコンテンツ作品の制作を通し、各業界・企業の実務における課題解決に向けたVR活用方策として、各業界の専門知識とVR技術を掛け合わせて企画する力を醸成します。
3.WEBサイト「VRライブラリー」の構築
本事業で開発したVRコンテンツを公開し、専門知識やノウハウを共有する場として、WEBサイト「VRライブラリー」を構築しました。VRライブラリーはVRコンテンツの投稿・閲覧ができ、投稿されたコンテンツを評価する機能を有しており、選考・審査等を通じたアワード開催が可能です。現在、本事業で開発してきたVRコンテンツ計11本と、VRコンテンツ制作ノウハウをまとめた4本の教材を掲載しています。今年度は生徒が制作したVRコンテンツ作品を集めたアワードを開催します。企業や自治体と連携することで、本サイトや本事業全体の価値を高め、政府が掲げる「デジタル田園都市国家構想」における「観光」や「働き方」に貢献することを目指します。
詳細は成果報告書をご覧ください。
各参画機関によるプレスリリースは下記をご覧ください。
AMATELUS(株)様 :https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000067.000028108.html
(株)データミックス様:https://datamix.co.jp/news/20220802/
※1:三幸学園におけるニューノーマルな学びのプロデュース事業の詳細はSANKO NNLラボ(New Normal Learning Labo)を参照。
※2:AMATELUS株式会社が開発・提供する、複数台のカメラ(台数無制限)で撮影された映像をスワイプすることで自由に視点をスイッチングしながら視聴できる国際特許技術(自由視点映像、マルチアングル映像)。三幸学園では2019年度から導入をはじめ、現在全国9エリアにおいて授業等で活用。
詳細はhttps://swipevideo.jp/を参照。
※3:株式会社プロシーズとかデータミックスが提供するConcentrateLMSではWebカメラで受講者の顔の特徴点を抽出し、録画せず集中度を計測可能。
詳細はhttps://www.pro-seeds.com/lms/feature/concentrate.htmlを参照。
※4:Head Mounted Displayの略で、HTC (株)のVIVE Pro Eyeを利用し、視線ログを取得し、没入度の計測を行いました。
詳細はhttps://www.vive.com/jp/product/vive-pro-eye/overview/を参照。
【本件に関するお問い合わせ先】
学校法人 三幸学園 事業開発部
TEL:03‐5615-8920
MAIL:info_bdd_2020@sanko.ac.jp