学校法人 三幸学園

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専門人材育成における仮想業務経験値獲得に向けたハイブリッド授業の開発・実証 = 先端技術を駆使した、実践的専門教材の開発・効果検証・人材育成の取り組み=

全国12都市に専門学校・大学・短期大学・高等学校・保育所を運営する学校法人三幸学園(理事長:昼間 一彦、本社:東京都文京区)は、関係機関と共に文部科学省委託事業「専修学校における先端技術利活用実証研究」に取り組んでおります(※1)。令和2年度から令和4年度までの3年間、東京リゾートアンドスポーツ専門学校を主幹校とし「スポーツ及び保育人材育成における先端技術を利用した学習成果検証事業」、札幌ビューティーアート専門学校を主幹校とし「VRを用いた美容・観光分野における職業教育実践事業」を展開して参りました。

コロナ禍でオンライン授業ツールを使った遠隔教育が普及し、新型コロナウイルスの感染症法に基づく5類感染症への移行に伴い対面指導の機会が戻ってまいりました。本委託事業終了後も成果を活用すべく、引き続き実践的専門教育の質向上を目指し、VRなどの先端映像技術を取り入れた教材の開発などに取り組んで参ります。

スポーツ及び保育人材育成における先端技術を利用した学習成果検証事業
■事業目的
実践的職業教育の様々な教育シーンで利用できる「先端映像技術教材」(VR技術等活用)と、その教材を効果的に使用する「学習テンプレート」を開発し、「先端映像パッケージ」として整理し学習成果を検証しました。

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■令和4年度実績
2021年度に行った検証授業では、360度動画による定点観察、SwipeVideo※2)で撮影した自由視点動画による多様な角度からの観察を組み合わせた学習テンプレートを開発し、受講者の実習先での行動イメージ醸成などに効果があるか検証しました。検証授業では一定の成果が得られたものの、安定した通信環境の確保やHMDVRゴーグルを含む)の導入・活用時の負担などの気付きを得られました。これらの気付きから、学校現場のICT環境に対応し、かつ限られた授業時間であっても実現性の高い学習テンプレートの開発・検証が必要であると思い至りました。

委託事業終了後を視野に令和4年度は、前年度に開発した先端映像技術教材の対面授業への導入促進に向け、想定される複数のICT環境に応じた学習テンプレートを再編成し、授業実践とセンシングを含めたコスト対学習効果の比較に取り組みました。再編成した学習テンプレートの特徴として (1)新型コロナウイルス感染症拡大状況変化を受け対面授業を前提としたこと、(2)学校のICT環境に合わせてパソコン・プロジェクターを使う場合を想定したこと、(3)先端映像技術教材の特性を改めて整理したこと、 (4)対面授業で生徒同士の主体的・対話的学びを深められるようアクティブラーニングを取り入れたことが挙げられます。

検証ではスポーツ分野・保育分野の生徒計290名以上を対象に受講中の集中度測定(※3)やアンケートを行い、先端映像教材を視聴する際の利用機材がHMDの場合、パソコンの場合、プロジェクターの場合での費用対コストの比較整理を行いました。
事業の詳細は成果報告書をご覧ください。

 ▼スポーツ分野の令和4年度学習テンプレートと先端映像技術教材の特徴
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▼保育分野の令和4年度学習テンプレートと先端映像技術教材の特徴
図②.png

■今後の取組み
委託事業の成果である教材開発・授業設計のノウハウを活用し、本学での先端映像技術教材の導入に取り組み、新規教材開発や姉妹校への展開に取り組んで参ります。

VRを用いた美容・観光分野における職業教育実践事業
■事業目的
美容・観光・ブライダル業界の課題である「技術力・接客サービスの向上」「広告宣伝の強化」に取り組むため、VR技術(360度動画)を活用した職業体験・研修・広報コンテンツの開発に加え、講師・生徒にVRコンテンツ制作技術を提供することで、専門学校教育の中で専門知識を付けた上で、VR技術を実務の中で活用できる、即戦力かつハイブリッド(専門知識×VR技術)な人材を育成する仕組みづくりに取り組みました。

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■令和4年度実績・今後の取り組み
1.生徒によるVRコンテンツ制作とアワード開催

前年度実施した生徒に対するコンテンツ制作技術教育を踏まえ、令和4年度は撮影から編集まで生徒自身が手掛ける作品制作に取り組みました。前年度開発したWEBサイト「VRライブラリー」を活用し、4分野13作品のアワードを開催しました。撮影協力企業や参画委員から「企画力」「編集力」「撮影力」の3カテゴリでの点数評価、「実現場での活用できそうか」「各業界でのVRコンテンツ活用可能性」など3点についてコメント形式で評価いただきました。評価結果を分析したところ、全体の構成やテロップ等での補足説明を作成する企画力とVR酔いにならないような動画の撮影力が企業のVRコンテンツ活用意欲に影響することがわかりました。アワードにおける評価終了後はバーチャル表彰式を開催し、点数評価の高い作品を制作した生徒を表彰しました。

2.専門分野の学びの動機づけとしてのVRコンテンツの効果検証

本事業では入学前段階を「専門分野の学びへの動機付け」として位置づけ、入学以降の様々な教育シーンと横並びに見なしています。「専門分野の学びの動機づけ」という教育シーンでは、入学検討者にそれぞれの専門分野や職業に興味関心を持たせ、学びたいという意欲喚起を行うことが重要です。この点に関し、各職業の特徴や業務の流れを学べる、初年度開発したVR職業体験コンテンツを活用して検証することとしました。さらに学習環境や学習内容を視覚的に伝えるため、学校紹介の360度動画やウォークスルー動画を検証素材として使い、コミュニケーションツール(SNS)で配信した際のデータを利用して検証しました。

今後は企業や自治体と連携することで、「VRライブラリー」や事業成果の活用を検討して参ります。
詳細は成果報告書をご覧ください。

VRアワード実施後のバーチャル表彰式の様子
図③.png

■構成員一覧(3か年)
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※1:三幸学園におけるニューノーマルな学びのプロデュース事業の詳細はSANKO NNLラボ(New Normal Learning Laboを参照。
2:AMATELUS(株) が開発・提供する、複数台のカメラ(台数無制限)で撮影された映像をスワイプすることで自由に視点をスイッチングしながら視聴できる国際特許技術(自由視点映像、マルチアングル映像)。三幸学園では 2019 年度から導入をはじめ、現在全国 9 エリアで授業等で活用している。詳細は https://swipevideo.jp/を参照。
※3:(株)プロシーズと(株)データミックスが提供するConcentrate LMSではWebカメラで受講者の顔の特徴点を抽出し、録画せず集中度を計測可能。詳細はhttps://www.pro-seeds.com/lms/feature/concentrate.htmlを参照。

■本件に関するお問い合わせ先■
学校法人 三幸学園  事業開発部
TEL:03-5615-8920                
MAIL:info_bdd_2020@sanko.ac.jp