
幼稚園教諭の仕事内容
【目次】
1.幼稚園教諭とは
幼稚園教諭とは、3歳時から小学校入学前の子どもたちと関わり、社会性と生きる力を育む仕事です。文部科学省が定めた幼稚園教育要領に基づいて、幼稚園ごとにカリキュラムが作られています。これに沿って指導を行いながら、子ども一人ひとりの今後の人生に大きく関わる存在として向き合っていくことになります。
2.幼稚園教諭の仕事内容
子どもたちに運動や音楽、お絵描き、工作などのカリキュラムや、運動会などさまざまな活動を通して集団生活の過ごし方を教え、生きる力を育みます。また、連絡帳の記入、翌日の準備、施設の掃除、カリキュラムの作成など幅広い業務を行います。子どもと一緒に遊ぶだけでなく、成長できる環境を用意し、常に工夫する姿勢も必要です。そして個人面談や懇親会など、保護者への対応も大切な仕事です。普段どのように子どもたちが過ごしているかを共有し、家族と協力しながらより良い教育を行なっていきます。
3.幼稚園教諭の一日の流れ
出勤後、まずは園内の掃除と安全確認を行います。登園時間になったら園児を迎え、出欠の確認をします。昼食まではお絵かきや体操、工作などを行いながら過ごします。独自のカリキュラムを敷いている幼稚園では英語などの勉強を教えることもあります。昼食の時間になれば食事の準備と片付けを行い、食事中のマナーやルールを教えます。午後は安全を確認しながら自由に遊ばせる幼稚園が多いです。その後は子どもの様子を連絡帳へ記入し、迎えにきた保護者に渡します。預かり保育を実施している園では担当の教諭が園児の面倒を見ることもあります。その後、翌日の準備や施設の清掃とチェック、職員会議などを行い、勤務終了となります。
4.幼稚園教諭になるには
幼稚園教諭になるには、国家資格の幼稚園教諭免許を取得したうえで、各幼稚園の採用試験に合格する必要があります。幼稚園教諭免許は高校卒業後、大学の教育学部や短大の幼児教育学科、専門学校などに入学し、所定の単位を修得して取得するのが一般的です。学校によっては、幼稚園教諭と保育士の資格を同時に取得できるコースを開講している場合があります。資格を取得した後、各幼稚園が実施する採用試験を受験します。公立では各都道府県の教員採用試験の1次と2次に合格しなければなりません。私立は各幼稚園で行われる独自の採用試験を受験し、採用となります。そうして初めて、幼稚園教諭としてのキャリアがスタートするのです。
5.幼稚園教諭の給与・年収
平均年収は平均で約400万円(37.5歳)です(厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」より)。ただし、都市部と地方の幼稚園、公立と私立の幼稚園、そして免許状によって給料は変わることがあります。学位による就職のしやすさや勤務内容等の違いはありませんが、大学院を修了することで得られる「専修」を持つ人が優遇される傾向にあります。
6.幼稚園教諭に必要な資格
まずは文部科学省が認定した大学や短大、専門学校に入学し、幼稚園教諭の教職課程を履修して卒業し、免許を取得する必要があります。同時に保育士免許や小学校教諭の免許を取る人も多くいます。幼稚園教諭免許には「1種」「2種」「専修」の3種類が存在します。1種免許は4年制大学を卒業した人、2種免許は短期大学・専門学校を卒業した人、専修は大学院を修了した人に発行されます。
それぞれの大きな違いは、1種以上の免許を持つ人のみが園長になれるという点のみ。業務内容に大きな差異はありません。
7.幼稚園教諭のやりがいと魅力
最も大きなやりがいは、子どもたちが成長していく姿を間近で見ることができる点です。子ども自身が「○○ができるようになった!」と自信をつけていったり、友だちとの関わり方を学んで社会性を身につけていく様子を見てやりがいを感じている幼稚園教諭はたくさんいます。
また、仕事を通して自分自身の成長を実感できることも多いです。子どもを教えているつもりが、気づけば子どもに教えられていた…という感覚が得られる仕事でもあるのです。
さらに、「幼稚園に通うようになって、我が子が成長してくれました」といった保護者からの感謝の言葉も、やりがいにつながることが多いです。
8.幼稚園教諭と保育士の違い
幼稚園は文部科学省の管轄で、主な目的は「子どもの教育」です。それに対して保育園は厚生労働省の管轄で、「子どもの保育」を目的としています。幼稚園教諭は子どもたちに生活するうえでの知識を伝え、「教育」していく役割を担っています。一方、保育士は、仕事やその他理由で保育ができない保護者に代わり、子どもたちの食事や着替えなど日常生活の補助、生活習慣付けの「サポート」が仕事になります。
また、幼稚園の開園時間は1日4時間が基本ですが、保育園は1日8~11時間など、スケジュールや勤務形態にも違いがあります。
このように、幼稚園教諭と保育士は別の資格です。しかし、専門の養成機関を卒業することで同時に取得することもできます。近年では、教諭幼児教育と保育を行う「認定こども園」や「幼保園」なども増えています。そうした場所では、両方の資格を持つ人が求められることもあります。