
ITコンサルタントの仕事内容についてわかる!
【目次】
1.ITコンサルタントとは
ITコンサルタントとは、ITを活用して企業の経営課題を解決する専門家です。ITは企業にとって有益な効果をもたらすと期待できます。しかし選択肢があまりにも多く、企業にとってどのITを活用すれば課題が解決できるのかが分かりにくいものでもあります。そこでITコンサルタントが企業の課題を丁寧にヒアリングし、最適なITソリューションを提案、最終的には企業の経営に貢献することを目指します。ITのスペシャリストとして、企業側の立場に立ちIT戦略を立案するところから関わる点で、システムエンジニアとは異なります。
2.ITコンサルタントの仕事内容
大きく4つのフェーズに分けることができます。
最初のフェーズでは、クライアントである企業の担当者や経営者から経営戦略や業務フローなどを徹底的にヒアリングします。ヒアリングが不十分だと、せっかくITソリューションを導入しても、クライアントのユーザーから「使いづらい」と思われ活用されずに終わる…という可能性もあるので注意が必要です。
次のフェーズでは分析を行います。現状のシステムが抱える課題点や、目指したい姿とのギャップを整理します。このフェーズで大まかな提案の方針が決まるため、ヒアリングと同じく細心の注意を払いながら分析する必要があります。各業界や分野のスペシャリストとチームを組み、分析と提案の準備を進めることが多いです。
3つ目のフェーズでようやく提案を行います。ヒアリングと分析の結果を踏まえ、新システムを導入することで経営課題をどのように解決するのかを具体的にプレゼンします。
最後のフェーズでは、新システムの導入に向けたプロジェクトのマネジメントを行います。システムエンジニアやプログラマなど、必要な人材を集めてチームを結成し、円滑なシステム導入とその後の運用まで管理を行います。
3.ITコンサルタントの一日の流れ
9時頃に出社、その後すぐに同じクライアントを担当しているチームメンバーとミーティングを行い、プロジェクトの進捗を確認します。午後のミーティングに向けた資料を午前中に作成し、昼食へ。午後はクライアントとミーティングを複数行い、クライアントの事業やワークフローの理解に努めながら経営課題を探します。「ITを活用してどのように解決できるか」も同時に考えることで、ゴールへの方向性を決めることができます。ITコンサルタント自身はプログラミングやコーディングのスキルが無くても、パートナーの開発者に相談できます。ヒアリングや分析、戦略の精査に注力できる環境が整えられているからこそ、経営者に寄り添った提案が可能となるのです。※企業や体制によってはコーディングも行う場合があります。帰宅前に再度進捗状況をチェックし、問題が無いことを確認してから退社します。
4.ITコンサルタントになるには
全くの未経験からITコンサルタントになるのは難しいと言わざるをえません。エンジニアとして働きながらIT業界の知見を蓄積しつつ、最新の情報をキャッチし、コンサルタントとして必要とされるスキルを学ぶことがITコンサルタントになるために必要です。必要とされるスキルとは、業界や事業の分析能力、システムのプレゼン能力などが挙げられます。エンジニアとして働いているとしても、積極的にクライアントや関係者と接し、コミュニケーション能力を磨くことを意識してみましょう。さらに経営やマネジメントのスキルも磨いておくことで、エンジニアからITコンサルタントへ転職する道が拓けるかもしれません。
5.ITコンサルタントの給料・年収
平均年収は約660万円となっています(厚生労働省発表資料より)。実績によっては1,000万円以上の待遇を用意されることもあります。
6.ITコンサルタントに必要な資格
コンサルタントの仕事をする上で必要な資格はないですが、クライアントの事業を理解するための知識や考え方を知っていることが求められます。高度IT人材であることの証明として「ITストラテジスト試験」や「プロジェクトマネージャー試験」といった国家資格を取得すると活かせます。また、例えば「中小企業診断士」や「SAP認定コンサルタント資格」などの資格を持っていれば、理論的な考え方やフレームワークといった知識を備えている証明になり、就職の際に有利に働くでしょう。
7.ITコンサルタントのやりがいと魅力
「経営課題を解決する、という大きな仕事ができるやりがい」「幅広い提案が可能だからこそクライアントが本当に必要とする提案ができる」「高収入を狙える」という3つの大きな魅力がこの仕事にはあります。
ITコンサルタントは経営層を相手に提案を進めます。経営視点を身につけることができますし、提案の多くは大きな規模になります。また、クライアントに最適なシステムの開発を信頼できる開発会社と協力しながら進めることも多いため、提案内容に縛られる事がありません。成果を出すことで年収1,000万円以上も目指せるのも、この仕事の魅力です。
8.ITコンサルタントに向いている人とは
さまざまな課題や解決方法と向き合い、理論的に検討する力が必要です。クライアントの信頼を得られる人柄、クライアントとシステム開発担当側のどちらにも偏らないバランス感覚だけでなく、ビジネスを学び続ける意欲、時間をかけて徹底的に業界や企業のことを調べる集中力や根気強さも求められます。また、売上をシビアに見る企業が多い為、数字に対するプレッシャーを糧にできることも、求められる素質の一つと言えそうです。
9.ITコンサルタントとシステムエンジニア(SE)の違い
大きく異なるのは、クライアントとの関係性です。システムエンジニアは、「こんなシステムを作る」と決められた要件に沿ってシステムの設計を行います。要件通りのシステムを作ることを第一の目標とするため、システム開発会社側に立つことが多いと言えます。それに対してITコンサルタントは開発側ではなくクライアント側に立ち、経営課題を解決するために最適なシステムを選ぶことが第一の目標です。システムエンジニアが関わるよりも前のフェーズで、システム設計の全体像を描くことが求められます。