保育・こどものお仕事

保育士の仕事内容 1日の流れは?

1.保育士とは

乳児から小学校入学前の、保育を必要としている子どもを預かり、保護者に代わって子育てをするのが保育士です。乳幼児期という人間形成の上で非常に重要な時期に、1日の多くの時間を一緒に過ごす保育士は、子どもにとって信頼される存在でなければなりません。また、子どもの体調の変化や気持ちを把握して適切なコミュニケーションを行ったり、保護者の抱える育児の悩みに対応できる、保育のプロフェッショナルであることが大切です。そのため、保育士として働くには、必要な知識を身につけた上で国家資格を取得する必要があります。

近年では、共働きをする家庭が増えているという社会環境から、より多くの保育士が求められています。


2.保育士の仕事内容

保育士の仕事は、単に子どもを預かり、身の回りの世話をするだけではありません。食事や睡眠、排せつの補助といったお世話ももちろん大切ですが、そういったお世話を通じて基本的な生活習慣を学ばせ、子どもの心身の発達を促すことが重要です。さらに年齢が上がると、子どもたちに集団生活のルールを守ること、友だちとの接し方や遊び方を教えていきます。

また、保護者に対して育児の悩みの相談に乗ったり、園内における子どもの過ごし方を共有することも仕事の一つです。


3.保育士の一日の流れ

朝、出勤したら開園の準備を行います。部屋の掃除、スケジュール確認を済ませた頃に開園の時間になり、子どもたちを迎えます。登園後、朝の挨拶や出席確認を行います。保護者から子どもの体調を聞くこと、そして検温も忘れずに。その後は体操、散歩、工作、歌あそび、読み聞かせなど、子どもの年齢に合わせた保育を行います。

昼食が給食の場合は配膳を行います。子どもによってはアレルギーを持っていることもあるため、口に入れないように注意を払います。

その後、0才児から2才児の着替えのサポートをし、お昼寝へ。子どもたちが寝ている間に会議や連絡帳への記入などを済ませます。

お昼寝が終わったら、園内で自由に遊ばせながら保護者のお迎えを待ちます。子どもの様子や連絡事項を伝えながら引き渡します。子どもを見送った後、園内を片付け、戸締まりをして勤務終了となります。


4.保育士の職場

基本的には保育園が勤務場所となります。保育園には大きく分けて「認可保育施設」と「認可外保育施設」があります。認可施設は児童福祉法で定められた細かい基準を満たし、認可を受けています。しかし認可外施設より優れているかというとそうとも言えません。というのも、子どもたちがのびのびと成長できる保育を実施したり、独自の保育方針を定める為に、あえて認可を受けていない施設もあるからです。

保育士の職場は、保育園に限りません。例えば児童養護施設もその一つです。保護者がさまざまな事情から一緒に生活できなくなった子どもたちが日常生活を送る場所が児童養護施設です。ここで暮らす乳幼児の保育を行うのが保育士の役目ですが、保育園と違い「お迎え」がありません。24時間365日、保育士同士で役割分担をしながら、時には保護者の役目も担い、子どもたちの成長を見守り続ける…。そんな職場もあります。


5.保育士になるには

保育士として仕事をするには、保育士資格が必要です。資格取得には主に2つの方法があります。

1つが、保育士養成機関として認められた大学、短大、専門学校で必要な科目を履修し、卒業すること。そしてもう1つが保育士試験に合格することです。

保育士養成機関として厚生労働省から認められた学校では、保育士の専門科目だけでなく、教養科目も学ぶことができます。さらに実習が必修科目の一つになっているのも特徴です。また、専門学校では大学と比べてより実践的な知識を学ぶことができます。

保育士養成学校に入学しない場合に受けることになる保育士試験には、受験資格が定められています。大学で2年以上在学している、児童福祉施設で一定の実務経験がある、幼稚園教諭免許状を持っているなどの条件をクリアしてはじめて受験が可能です。


6.保育士の給与・年収

勤務先によって異なりますが、平均月給は22.8万円。賞与を含めた平均年収はおよそ340万円となっています。他の職種と比較すると、保育士の給与水準は高いとは言えません。ただ、保育士の需要が高まっている事を受け、国や自治体は保育士の処遇改善を進めています。例えば東京都では、家賃補助という形で給与に手当をプラスする制度を整えています。今後一層の改善が期待されています。


7.保育士に必要な資格

保育士として仕事をする上で必要なのが、保育士資格です。保育士養成機関を卒業すれば自動的に資格を手に入れることができます。保育士養成機関に入学しない人が資格を手に入れるには、保育士試験を受験し、これに合格する必要があります。また受験資格も設定されており、児童福祉施設での実務経験などが求められます。ちなみに保育士試験の合格率は、2020年度のデータでは24.2%と高くはありません。独学で受験される人が多いことや、筆記試験の科目数が多いこと、実技試験で総合力が求められることが、合格率が低い理由と考えられます。


8.保育士のやりがいと魅力

保育士にはさまざまなやりがいがあります。その中でも特に大きいのが、子どもの成長を間近で感じられることではないでしょうか。初めて歩いた時や、初めて言葉を喋った時など、できることが徐々に増えていく子どもたちを見守るのは、何度味わっても嬉しいものです。さらに、保護者から頼られるのもやりがいの一つです。保護者のほとんどが、育児に悩みを持っています。育児のプロフェッショナルとして相談に乗り、時には保育士ならではの知識や経験で解決に導くことで、信頼を得ることができます。しかしなにより、子どもが好きな方にとって一緒に時間を共有するというこの仕事そのものが魅力となるはずです。大変な時期であっても、子どもの笑顔を見るだけで頑張れるという保育士も大勢います。


9.保育士と幼稚園教諭の違い

保育士と幼稚園教諭の違いはいくつかあります。

1つは、資格です。保育士になるためには厚生労働省が管轄する「保育士資格」が必要ですが、幼稚園教諭になるためには文部科学省が管轄する教員免許「幼稚園教諭免許」が必要となります。

2つ目は、働く場所です。保育士が働く場所は保育園、児童養護施設など、子どもを保育する施設です。それに対して幼稚園教諭は幼稚園での勤務となります。ちなみに最近では、保育園と幼稚園の機能を併せ持つ「認定こども園」と呼ばれる施設も増えています。ここで働く職員は保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を持っていることが条件となります。

そして3つ目は、その仕事内容です。保育士は保護者に代わって保育を行い、生活習慣を教えることが求められています。一方で幼稚園教諭は、小学校入学の準備として教育を行うことが求められます。

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