薬剤師の仕事内容についてわかる!必要なスキルや年収は?
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薬剤師の仕事内容についてわかる!必要なスキルや年収は?

1.薬剤師とは

 薬剤師は薬の専門家として、医師が処方した薬の調剤や服薬指導、医薬品の管理や販売などに広く携わる職業です。特に、処方箋に基づいて薬を量ったり包んだりする「調剤」は薬剤師にだけ与えられた資格であり、患者さんに薬の使い方や注意点を説明する「服薬指導」は一般の人にもなじみ深い業務です。

 近年では「かかりつけ薬剤師」が増えており、薬の重複や飲み合わせの確認、薬に関する相談業務を通じて患者さんの安全性と薬の有効性の向上を図っています。

薬剤師の仕事風景

2. 薬剤師になるために

2.1 薬学の学校に行く

 まずは高校卒業後、大学の薬学部に進みましょう。そして、6年制の薬剤師養成課程を修了します。そうしてようやく、薬剤師国家試験を受ける資格を手にすることができます。

 ちなみに薬学部には大きく分けて薬学科と薬科学科の2つがあり、薬剤師になれるのは薬学科です。一方、薬科学科の多くは4年制で、新しい薬の開発に関わる研究者への道が開かれています。しかし薬剤師国家試験の受験資格が得られないので、注意が必要です。

2.2 薬剤師国家試験に合格する

 薬剤師国家試験の受験資格を得て見事合格すれば、薬剤師の免許が与えられ、業務に携わることができるようになります。

3. 薬剤師国家試験とは

3.1.薬剤師国家試験の受け方

 毎年1回、2月に行われる薬剤師国家試験。例年、全国9ヶ所に試験会場が置かれ、2日間にわたって実施されます。

3.2.薬剤師国家試験の難易度・合格率

 基礎的な知識を問う必須問題を70%以上、かつ理論と実践の問題を基準以上の正答率で答えることで、合格基準をクリアすることができます。合格率は例年68%程度ですが、新卒の受験者の合格率は80%以上となっています。難関ではないものの、しっかり勉強しないと不合格になることも珍しくありません。

4.薬剤師の仕事内容

4.1.処方監査

 処方箋を受け取ったら、まずはその内容に誤りがないかをチェックします。そして薬剤を調整し、処方箋と照合して間違いがないか調べます。主な項目は薬剤の種類や数量、服用方法などが挙げられます。人間はミスをするという前提に立ち、調剤をした人と確認をする人を分けてダブルチェックを行うことが推奨されています。

4.2.服薬指導

 患者さんや家族、看護師、介護職員に対し、薬の効能や服薬方法、服薬時の注意点を説明します。さらに、正しく服薬できているか、体調変化がないか、残薬がないかを確認するのも大切な仕事の一つです。

4.3.薬歴管理

 調剤や服薬指導、既往歴や体質、生活状況などを記録する業務です。薬歴を作成することで、患者さんの治療の経過を時系列で確認できるようになります。

4.4.疑義照会

 処方箋に疑問点や問題点があれば、処方箋を書いた医師に問い合わせて確認することがあります。副作用などから薬剤師としての知見を活かして患者さんを守ることが求められます。

4.5.医薬品の販売

 薬の中には、第一類医薬品と呼ばれる、薬剤師が販売することが義務付けられているものもあります。効果や副作用の説明や、年齢、他の薬の使用状況などの確認を行い、正しく販売を行います。

4.6.医薬品の管理

 必要な時に患者さんに薬を渡せるように、薬の在庫を管理することも、薬剤師にしかできない仕事です。保存する温度や有効期限など、ただ在庫を管理するといっても十分な注意と確認が求められます。

5. 薬剤師の勤務先

薬剤師の業務内容は、勤務先によって大きく変わります。ここで、それぞれの勤務先での業務内容や特徴を見てみましょう。

5.1 調剤薬局

 薬剤師、と聞いて真っ先にイメージされるのが、薬局で働く薬剤師ではないでしょうか。患者さんの体をまもるため、きちんと薬歴を聞いて的確な服薬指導を行うことが重要です。時には不安点がないかなどの相談に乗ることもあります。処方箋通りに調剤をするだけでなく、患者さんと向き合うことが大切な仕事であると言えるでしょう。

5.2 製薬企業

 病院や薬局を対象に、自社の薬の情報提供を行う営業として働く薬剤師や、研究開発部門で新薬の開発を行う薬剤師、さらには学術情報の提供や薬の管理などを専門に行う薬剤師など、様々な働き方があります。

5.3 ドラックストア

 ドラックストアでは、処方箋がなくても変える一般用医薬品を販売しています。しかし、第一類医薬品は薬剤師しか販売することができません。副作用やリスクなどを説明することが重要です。

5.4 病院

 入院患者さんのための調剤、服薬指導、薬の管理などが主な仕事です。注射薬を調製したり、市販されていない薬を製剤したりといった業務を行うこともあります。医師や看護師と連携しながら患者さんの治療にあたります。

6. 薬剤師の平均年収

 令和4年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)では、薬剤師の平均年収はおよそ583万円であることが分かりました。他の仕事の平均年収と比較すると高く、20代でも464万円と資格を活かして安定的に高収入を得られる仕事であると言えます。

7. 薬剤師が向いている人の特徴

 薬剤師の仕事で重要なのは、患者さんや一緒に働く薬剤師、医師とのコミュニケーションです。間違いを犯さないように、正確に情報を共有しながら連携し、相談もしながら業務を進めています。人と接することの多い薬剤師という仕事に、コミュニケーション力は大きな強みになるでしょう。また、患者さんの命を守るという責任感を持てる人、進歩し続ける薬の知識をアップデートしようと勉強できる人、さらに丁寧に業務を行う几帳面さを持つ人が薬剤師に向いています。

8. 薬剤師の将来のキャリアプラン

 薬剤師がキャリアを考える上で、マネジメントへ進むか、専門性を高めるか、という2つの方向性があります。管理薬剤師や薬局長などの管理職を目指すか、特定の領域に特化した薬の知識を身につけて資格を取得し、キャリアアップを狙うか、といった選択肢を選ぶことができます。

9. まとめ

 薬剤師は、高度な知識を活かして患者さんを健康に導く仕事です。それだけ責任もありますが、やりがいや高い収入を得られる仕事でもあると言えるでしょう。