
診療放射線技師の仕事内容についてわかる!必要なスキルや年収は?
診療放射線技師とは、医療の現場で放射線を用いた検査や治療を行う技術者です。
本記事では診療放射線技師の仕事内容をはじめ、就職のために必要なプロセス、就職先、給料について紹介していきます。その他、診療放射線技師の適性なども解説するので、興味がある人は参考にしてください。
【目次】
診療放射線技師とは

診療放射線技師は、医師や歯科医師の指示に基づき、放射線による検査や治療に携わる医療技術者です。一般X線撮影(レントゲン)や乳房X線撮影(マンモグラフィ)、消化管や血管の造影検査、CT(体内の断面を撮影する検査)など、放射線を用いた検査が主な業務となります。
この他にMRI(磁石と電磁波による検査)など、放射線を用いない検査も行います。
また、上記の「検査」だけではなく、放射線を用いてがん細胞を破壊する「治療」に携わる場合もあるでしょう。
診療放射線技師の種類

診療放射線技師は、国家試験に合格すれば従事できる職業です。
ただし、携わる医療業務によっては、その分野における専門性、最新の知識や技術を求められることがあります。これらを保有していることを証明できるのが「認定資格」です。
認定資格には、下記のような種類があります。
・検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師
・X線CT認定技師
・放射線治療専門放射線技師
・磁気共鳴専門技術者
・放射線管理士
・救急撮影認定技師
診療放射線技師の資格を取得後は、様々な業務の選択肢があるのも特徴です。必要に応じて、上記の認定資格を取得すると良いでしょう。
診療放射線技師の仕事内容

診療放射線技師が行う仕事は、多岐に渡ります。下記を参考にしてみてください。
・検査
放射線やラジオアイソトープ(放射性同位体)を用いて、患者の病巣などを特定する。また、放射線を用いない検査(MRI、超音波、眼底検査など)も行う。
・治療
放射線治療(放射線の照射による、がん細胞の破壊)を行う。
・被ばく(放射線を浴びること)の管理
患者が浴びる放射線を管理・記録する。放射線の効用を最大限に受けられるよう調整、また被ばくの危険を最小限に抑えるための管理を行う。
・放射線機器の管理
放射線機器を安全に使えるように品質の管理や点検を行う。
診療放射線技師になるには

診療放射線技師として働くには、国家試験に合格して「診療放射線技師免許」を取得していることが前提になります。
ただし、この国家試験を受験するには一定の条件を満たさなければなりません。高校卒業後、4年制大学や3年制専門学校などの診療放射線技師教育機関に進学し、所定のカリキュラムを修了することで受験資格を得られます。
診療放射線技師に必要なスキル

診療放射線技師になるためには、所定の教育機関でしっかりと学ぶことが大切です。受験資格を得た後の診療放射線技師国家試験では、下記の11科目が出題されるので、専門知識を幅広く身に付けておいてください。
・基礎医学大要
・理工学・放射線科学
・核医学診療技術学
・エックス線撮影機器学
・エックス線撮影技術学
・診療画像検査学
・放射線治療技術学
・画像工学
・医療画像情報学
・放射線安全管理学
・医療安全管理学
これらに関する知識の他、計画的な学習や体調管理が行える自己管理能力も身に付けておくと良いでしょう。
診療放射線技師の主な就職先

診療放射線技師の就職先には、下記の場所が挙げられます。
・総合病院(大学病院、国公立病院含む)
様々な診療科の検査を担当するケースが多く、幅広い知識や最新の技術を身に付けることができる。
・専門病院(クリニック含む)
特定の診療科を専門とするので、行う検査の範囲が限定される可能性がある。また、人員に限りがあるので、検査を一任されたり、事務作業など専門外の業務を任されたりすることもある。
・健診および検査機関
レントゲン、マンモグラフィ、消化管造影検査、CT、MRIなど、健診などで一般的に行う検査を担当する。
・医療機器の関連会社
アプリケーションスペシャリスト(専門知識を活かし、医療機器の導入支援などを行う技術者)として働くケースが多い。
診療放射線技師の年収・給料

厚生労働省が調査したデータによると、診療放射線技師の平均年収は約540万円です。20~30代の年収はこれより低く、転職や年齢が上がるにつれ高くなる傾向がみられます。
診療放射線技師の給与には、住居や通勤などの一般的な手当の他、特殊業務手当が支給される場合があります。
診療放射線技師のやりがい

診療放射線技師が得られるやりがいには、下記のようなものが挙げられます。
・患者が回復したり、患者や家族から感謝されたりした時
・患者の状態を的確にとらえた画像が撮れた時
・医師から指名されたり、意見を求められたりするなど、仕事を評価された時
・医師や看護師などと連携し、医療チームの一員として貢献できた時
日本で人体への放射線照射が認められているのは、医師と歯科医師、そして診療放射線技師だけです。医療において放射線は多大な効果を持つので、医師の診断や患者の治療に大きく貢献できることが、診療放射線技師の仕事のやりがいと言えるでしょう。
診療放射線技師に向いている人

診療放射線技師には、下記のような人物像が求められます。診療放射線技師を目指そうと考えている人は、参考にしてみると良いでしょう。
・知的好奇心がある人
幅広い知識や技術を習得し、また継続的に学んでいく必要があるため。
・集中力や注意力がある人
危険物である放射線を扱うため。
・几帳面な人
撮影する画像は診断に使われるものであり、正確性が求められるため。
・体力がある人
身体が不自由な患者の移動介助などを行うため。
・コミュニケーション能力が高い人
患者が安心して検査を受けられるよう、相手を思いやり、説明や声掛けを行う必要があるため。
・パソコンを扱うことが好きな人
機器の操作や検査結果の管理など、パソコンを使う業務が多いため。
まとめ

診療放射線技師は放射線に関する知識と技術が必要な、専門性の高い技術職です。
放射線は医療において大きな効果を持つ反面、危険性が高く、慎重に取り扱わなければなりません。診療放射線技師は責任が大きい職業であり、医療現場に欠かせない重要なポジションと言えるでしょう。