
スポーツ・健康のお仕事
株式会社カマタマーレ讃岐
高見仁さん
アスレティックトレーナー
私は株式会社カマタマーレ讃岐で、プロサッカーチーム専属のアスレティックトレーナーとして働いています。負傷した選手に対する現場での応急処置や、テーピングの実施、筋力トレーニング指導の他、ケガから回復するためのリハビリ指導などを行うのが、私の仕事です。
アスレティックトレーナーの主な役割は、選手のケガを未然に防ぎ、練習や試合でベストなパフォーマンスを発揮できるようサポートすることです。
そのためにアスレティックトレーナーは、選手の健康管理を日々行い、不調な箇所はないか、ケガにつながる兆しがないかなどを常にチェックしています。そして、少しでも異変を見つけたら、アスレティックトレーナーがテーピングなどの予防策を講じるのです。
また、ケガをした選手に対して競技復帰を目指したリハビリを行うことも、アスレティックトレーナーの大切な仕事です。
アスレティックトレーナーが、選手の不調のサインを見逃したり、不適切なやり方でリハビリを実施したりすると、選手のケガを防げなかったり、ケガからの回復を遅らせたりするおそれがあります。
そうならないためにアスレティックトレーナーは、医療分野に通じる高度な知識と技術を学び続けなければなりません。
プロスポーツ選手のサポートにあたるアスレティックトレーナーは、さまざまな苦労がある仕事です。しかし、ケガのないチーム作りや、自分がリハビリを担当した選手の復帰に貢献できた時には、この上ない喜びとやりがいを感じます!
私がアスレティックトレーナーを目指したきっかけは、小さな頃から続けていた空手道の経験にあります。私は約10年間空手に打ち込む中で、自然に「スポーツに関わる仕事がしたい」という思いを抱くようになりました。
また、年齢を重ねるにつれて青春の日々に思いを馳せることが増え、「もう一度あの青春を味わいたい」という気持ちが芽生えたことも、スポーツの仕事を選ぶ動機となったと言えます。
高校生になり将来の進路を具体的に考え始めた頃、私は広島リゾート&スポーツ専門学校からパンフレットを取り寄せ、オープンキャンパスにも参加しました。
そこで、アスレティックトレーナーという職業の存在を知り、仕事にとても興味を持った私は、その勉強ができる学科に入りたいと考えました。
当初は広島の専門学校を検討していたのですが、私の空手道の経験を知った先生が、姉妹校である大阪リゾート&スポーツ専門学校を勧めてくださいました。その理由は、大阪の専門学校にはアスレティックトレーナー科があり、キッズ空手道場もあるからです。
私は「ここでなら、子どもの頃の経験を生かしながらアスレティックトレーナーになるための勉強ができる!」と考え、入学を決意しました。
アスレティックトレーナーとして働く中で、私が特にやりがいを感じるのは、選手と全力で喜びを分かち合う瞬間です。時には、自分が選手よりも前に出て喜んでしまうこともあるぐらい、チームが試合で良い結果を出すのは嬉しいものです。
また、ケガで戦線を離脱した選手が苦しいリハビリを乗り越えた後に、試合で活躍している姿を見た時の安心感や喜びも、私のやりがいにつながっています。
長期のリハビリを終えたある選手が、試合で活躍し勝利に貢献した後、私に「高見さんに少し恩返しできたと思うので、嬉しいです」と言ってくれたことがあります。この言葉は、一生忘れられません。
私の就職活動は順調なものではなく、12月まで就職先が見つからなかったので、とても不安な時期を過ごしていました。
その理由は、自分がどんな仕事をしたいのか、どのような場所で働きたいのかが分からないまま就職活動を行なっていたからです。それでも、気になる企業に実際に足を運んでみることで、少しずつ自分の進むべき方向が見えてきました。
不安でいっぱいだった私の就職活動を支えてくれたのは、他でもないこの学校の先生方でした。特にお世話になったのは、I先生です。勉強だけでなく、さまざまなことを親身に教えてくださったI先生は、私の師匠とも言える存在です。
I先生とのエピソードでいちばん思い出に残っているのは、私がなくし物をした時のことです。どこでなくしたかも分からないのに、先生は2時間も一緒に探してくださいました。
結局、そのなくし物は家で見つかったのですが、こんな些細なことでも真剣に向き合ってくださる先生と出会えたことは、私にとって何物にも代えがたい宝物です。
専門学校で学んでおいて良かったと思うことは、アスレティックトレーナーとしての仕事への向き合い方です。それを教えてくださったのも、やはりI先生でした。
選手(クライアント)は、1回ごとの練習やセッションに命をかけて取り組んでいます。その1回に本気で向き合うのがトレーナーとしてあるべき姿だということを、私はI先生から学びました。この教えは、私の仕事の大切な指針となっています。
アスレティックトレーナーとして働く上で私が大切にしていることは、選手に「きっかけ」を与えることです。
たとえば、運動をはじめることや自分の身体を理解すること、人生を考えることなど、どんなきっかけでも構いません。相手に何らかの「きっかけ」を与えられるような、アスレティックトレーナーになるのが、今の私の目標です。
だから私は、選手のためにすべてのことをしたり、教えたりはしないようにしています。本当に必要なポイントを見定めて、適切にアドバイスできるよう、日々勉強しています。
そして将来的には、リハビリ・コンディショニング施設を設立したいと考えています。ケガで悩んでいる選手や、痛みを抱えているクライアントさんに、再びスポーツをするための「きっかけ」を与えていきたいです!
高校生の皆さん、スポーツ現場は夢と希望に溢れています。そしてアスレティックトレーナーは、選手たちが描く夢や希望に寄り添える、素晴らしい仕事です。
私は少し先で、皆さんがアスレティックトレーナーの世界に来てくれることを待っています。
皆さんの活躍を、心から期待しております!