佐渡村 賢一

食・製菓・調理・栄養のお仕事

割烹味菜

佐渡村 賢一さん

料理人

辻学園調理・製菓専門学校 2021年卒業

卒業学科:調理師科

卒業コース:-

島根県立浜田高等学校 出身

割烹味菜の料理人として、掃除全般・器具磨き・食材の仕込み・接客・料理の盛り付けなど、多岐にわたる仕事を行っています。

料理の味付けや仕上げ以外のすべての作業を担当しているため、毎日の仕事がとても忙しいです。日々の業務の中で、特に掃除や仕込みの作業は時間と労力を要しますが、それでも一つ一つの作業が重要であることを実感しています。

料理人という仕事は常に時間に追われて体力的にも精神的にも大変ですが、その大変さを上回るやりがいが、この仕事にはあります。特に親方やお客さんから自分の仕事を褒められた時や、お客さんがおいしそうに料理を召し上がっている姿を見る時が、この仕事を選んでよかったと実感する瞬間です。

直接お客さんから褒められることがなくても、自分が勤め始めてから常連になってくださったお客さんを見ると、自分の仕事が認められたような気持ちになります。

私が料理人を目指したきっかけは、幼少期の家庭環境にあります。祖父が漁師をしていたため、毎日のように新鮮な魚が食卓に並んでいました。いつも祖母や母と一緒に料理を作るのが当たり前で、祖母が私の料理を褒めてくれた時の幸せそうな表情が忘れられません。そういった経験から、自分の作る料理で誰かを幸せにしたいという思いが芽生え、この道を志しました。特に祖母の笑顔は、今でも私の原動力となっています。

世の中にはさまざまな仕事がありますが、自分の仕事が誰かの喜びにつながっていることを目の前ですぐに実感できる仕事は少ないと思います。料理人の仕事は、そのような数少ない仕事です。料理を口に入れた瞬間のお客様の反応で、自分の料理がどう思われているか分かります。そういったお客さんの素直な反応が、私にとってはとてもうれしいものです。

また、バイトの後輩たちの成長を見守ることも、大きなやりがいの一つです。最初は右も左も分からず、おどおどした接客をしていた子が次第に自信を持って接客するようになった姿を見ると、自分も常に努力し、成長していきたいという気持ちになります。

私はアルバイトから今勤めている会社に就職したため、就職活動で困ったことはありませんが、専門学校での経験は今の仕事をする上でとても役立っています。専門学校で学んだことは、実際の仕事に直結する内容ばかりでした。中でも衛生面や食品学の知識は、非常に役立っています。また、同じ料理人を目指す仲間たちとの切磋琢磨が、自分の成長につながりました。

加えて、学校での人間関係やグループワークを通じて培ったコミュニケーション力も、大きな財産です。特に担任の先生や日本料理の先生方にはお世話になりました。教壇に置いてある先生の包丁はいつも手入れが行き届いており、自分の思っている職人像がそのまま目の前にいるかのようで、憧れでした。

先生方の美しい所作や道具を手入れする姿勢など、座学の勉強だけでは学べない非言語的な学びがすべて、職人としての仕事に活かされています。厳しいながらも愛のある指導をしてくださった先生方には、感謝の気持ちでいっぱいです。年齢の近い先生とは今でも連絡を取り合っており、このような関係をこれからも大切にしたいと思っています。

専門学校で学べたことは、料理や職人としての姿勢だけではありません。人間関係でも、とても学ぶことが多かったです。同じ料理人を目指している人でも、しっかりと目的を持って入学してきた人・そうでない人では、料理に向き合う姿勢が違いました。皆さんも自分が心からやりたいと思うことに向き合って、志高く学べる場所を探して欲しいと思います。

今後の目標は、自分の店を持ち自分の生活を支え、出来れば人の生活まで支えられるようになることです。そのために、ソムリエの資格や日本酒検定の資格、経理関係の勉強など、今のうちから必要な知識を身に付けていきたいと考えています。少しずつですが、今も将来の夢に向かって準備を進めています。自分の店を持つという夢に向かって、まずは日々の仕事を大切にしながら、着実にステップを踏んでいきたいです。

高校生へのアドバイスとしては、本気で夢をかなえたいのであれば、少々のことでは諦めず、初心を忘れずに日々努力を続けてほしいということです。自分の未来について考えることは大切ですが、まずは目の前のことに全力で取り組むことが重要です。それがいつか大きな力になると信じています。自分の夢に向かって、一歩一歩進んでいってください。