
食・製菓・調理・栄養のお仕事
ジェームス邸
石丸香奈恵さん
パティシエ
私は現在、ジェームス邸という結婚式会場でパティシエとして、ウェディングケーキ作りや、レストランのデザート作りをして働いています。結婚式という特別な一日を彩る仕事のため強いプレッシャーを感じますし、土日の休みが取りづらくきついと思う日もありますが、お客様の大切な日に携わる喜びを糧に、日々頑張って働いています。
パティシエの仕事は実際のケーキ作りだけではありません。お客様がどのようなケーキを希望しているか、事前に打ち合わせするのもパティシエの仕事です。お客様が思い描く「こんな式にしたい!」というイメージを伺い、こだわりや想いを叶えるべく、ご予算内でいろいろな種類のケーキを提案しています。
結婚式にいらっしゃる来賓の方にお出しするデザート作りも、我々パティシエの仕事です。結婚式の規模によっては数百人もの来賓の方がいらっしゃるので、早朝から準備に取り掛かり、深夜まで片付けに追われます。働く時間は長く、体力勝負な仕事であるのが現実ですが、そのつらさもお客様の笑顔のためなら気になりません。
私は小さい頃からお菓子を作るのが大好きで、よく家族や友達に振舞っていました。思い返せば、周りの人たちが私のお菓子で笑顔になってくれたことが、この仕事を目指すきっかけだったのかもしれません。
専門学校では普段の授業の他に実習として、本当のお客様にケーキを販売する授業があります。私はそこで働く先輩の姿を見て、パティシエになりたい気持ちがより強くなりました。責任をもってお客様の大切なケーキを作る先輩が、とても輝いて見えて、私もこの仕事でお客様を笑顔にしたいと決心できました。
この仕事は体力的にも精神的にも大変なことが多いですが、それでも私はこの仕事が大好きです。結婚式のクライマックスで、事前にお客様と入念に打ち合わせしたケーキが新郎新婦様の前に運ばれ、式場が大きく盛り上がるたびにここまで頑張ってきて、本当によかったと思えます。式が終わった後、屈託のない笑顔で「すごい!」と言われる喜びは何物にも代えがたく、この言葉が私の原動力となっていることは間違いないです。
私が就職活動をしていた時はちょうどコロナウイルスが流行っており、ウェディング業界で就職先を見つけるのは本当に大変でした。志望動機もしっかり練り上げて、たくさん面接練習もしたのに、受け入れ先の企業がそもそもないという状況でしたので、非常に歯がゆかったです。精一杯努力を重ねてきたのに就職活動がうまくいかず、何度も心が折れそうになりました。
そんななか、私の心を支えてくれたのはクラスメイトの存在でした。クラスのみんなとの何気ない会話や、お互いに応援し合うことで、私の沈んだ気持ちは軽くなりました。「つらいのは私一人だけじゃないから頑張ろう」と、前向きな気持ちになり、厳しい就職活動も楽しく乗り切ることができたのです。
担任の先生も「環境がどうなろうとも、自分の努力で、どうにかできることに全力を注ごう」と、私たちをポジティブに励ましてくれました。結果的に私が無事に内定を獲得できたのは、途中で腐らず、努力を続けたからこそだと思っています。この仕事をしていると、思い通りにならないことも結構多いです。けれどそんな時は、この経験を思い出して日々を乗り切るようにしています。
専門学校で習ったことで、今一番役に立っていると思う技術は、在籍中にたくさん練習したナッペの技術です。ナッペというのは、ケーキにクリームを塗って見た目を綺麗にしたり、フルーツタルトの表面にジャムやゼリーを塗ったりして光沢を出す工程です。ナッペはウェディング業界だけでなく、レストランや街のケーキ屋さんなど、ほとんどの場所で使う技術だと思います。なので、先生から教わったアドバイスは本当に役立ってますし、専門学校に通ってよかったと思いながら、仕事をしています。
将来は、専門学校で学んだことや現場で培った技術を活かし、ゆったりとした雰囲気の古民家カフェを開きたいです。私はお客様の喜ぶ笑顔を見たくて、この仕事を目指し、続けています。地元の憩いの場となるようなところを作り、これからもたくさんの人を笑顔にしたいです。
もしあなたが本当にパティシエを目指しているなら、お菓子作りが好きという気持ちを忘れず、そして喜んでいる人がいることを常に考えて楽しくパティシエを目指して欲しいです!うまくいかなくて悩むことが多いかもしれませんが、とにかく一生懸命作ることができたら、自然とうまくいくことが増えると思います。目の前のことに集中して、後悔のないよう頑張ってください!