
食・製菓・調理・栄養のお仕事
株式会社帝国ホテル 帝国ホテル大阪
今城 浩二さん
シェフ
私は帝国ホテル大阪で、宴会やレストランの全般にわたる責任者である調理課長を務めています。調理部門のメンバーが安心して働けるように労務管理を行いますが、もちろんそれだけではありません。現場に立って仕込みや調理、盛り付け、メニューの確認、そして宴会でのワゴン対応まで、日々忙しいながらも充実した業務に従事しています。
仕事で最もやりがいを感じるのは、やはりお客様から「美味しい」という言葉をいただいた瞬間ですね。月に数回、指名を受けて鉄板焼きで料理を振る舞うこともあり、顧客の期待を超えるサービスを提供することに全力を注いでいます。帝国ホテルに求められる水準は非常に高く、それに応えるためには常に努力し続けなければなりません。責任と期待があり、それに応えることが私のモチベーションになっています。

専門学校時代に学んだ技術は、今でも私の仕事に大いに役立っていると感じます。オニオンアッシェやオムレツ、桂剥き、シャトーなど、基礎から応用までのすべての技術は、帝国ホテルのクオリティに近づくための礎となりました。特に印象に残っているのは、ある先生のオムレツのテクニックです。美しさすら感じるオムレツに目を奪われつつも、「きっと自分も同じレベルのオムレツを作れるはず!」と向上心に火がつきました。先生の技術を研究し、自分のものにするために何度も練習を重ねました。時間は掛かりましたが、努力の結果、どこに出しても恥ずかしくないオムレツを作れるようになりました。
私がこの仕事を目指そうと思ったきっかけは、小学生の時にまでさかのぼります。何気なく見ていたテレビ番組に登場した、高い白い帽子をかぶった料理人。炎を上げながら料理を作るその姿に強く惹かれ、「かっこいい!あの料理人のようになりたい!」と夢を抱いたのです。高校卒業後の進路も悩むことなく、料理人になれる道を選びました。辻学園調理技術専門学校に入学した理由は、高校2年と3年の時に参加した体験入学がきっかけです。他の専門学校も見学しましたが、辻学園の雰囲気や親しみやすい先生方に魅了され、「ここなら自分に合っている」と感じて、入学を決めました。

就職活動は入学した直後の4月から始めました。大阪を中心に「ここで働きたい」と思えるホテルを探していたところ、私が卒業する1996年に帝国ホテル大阪が開業する、と知りました。「日本一のホテルで働きたい」と考え、帝国ホテル以外は考えずに一点集中で就職活動を進めることに。自らレベルアップを目指した課題を設定してはそれをクリアし、帝国ホテルにふさわしい料理人を目指していましたね。そして無事、目標である帝国ホテル大阪への就職を達成することができました。
将来的な夢は、帝国ホテル大阪の料理長になることです。関西には、帝国ホテル以外にも素晴らしいホテルがたくさんあり、高いレベルで戦っています。このホテル戦争に勝ち抜くため、帝国ホテルの顔としてその名を世に広めることを目指したいですね。また、関西の他ホテルとの交流を深め、フランス料理の業界をさらに発展させていきたいとも考えています。
最後に、同じ業界を目指す高校生の皆さんへアドバイスを送ります。世の中には数%の天才がいますが、努力次第で誰でも目標を達成できることを忘れないでください。私もそうでした。人一倍努力すれば必ず成果は現れます。目標を高く持ち、常に美味しい料理を作る意識を持つことが重要です。

料理本を読み、知識を広げ、美術館や博物館を訪れて感性を豊かにしてください。語学の勉強もしてコミュニケーション力を高めることも大切です。料理と関係ないのでは?と思うかもしれません。でも、感性は普段の自分の過ごし方一つで豊かにもなれば衰えてもいきます。何事にも興味を持ち、美しいものを目にすることで、思わぬ料理のアイデアが閃いたり、盛付けの美しさに磨きをかけたりできるのです。多方面に興味を持つことで、料理人としての幅が広がります。学生の頃からこうした行動力を持てば、5年後、10年後に料理人のキャリアに大きな差となって表れるはず。皆さんの未来に期待しています。